聖誕
4月!桜の開花と共に、新年度が始まりました。
ご入学、ご進学、また新しく社会人をスタートされる
皆さん、おめでとうございます。
今月は預言者ムハンマド様聖誕ということで、預言者様をテーマににていきたいと思います。
預言者ムハンマド様(彼の上に祝福と平安あれ)がお生まれになった日にちは、ラビーウルアウワル月(イスラーム暦3月)12日、当時の西暦に換算するとその日は4月20日に当たっていたとされています(他の説もあり)。特に生誕を祝うことはありませんが、預言者様を知り、預言者様に近付く一つの機会と捉えてみるのも良いではないでしょうか。
「もしあなたがいなかったら、この世界を創造しなかったであろう」と言われるほどのお方。この世を学校に例えれば、校舎や様々な施設、教科書などの設備がすべて整えられた中に何も知らない生徒としてやってきた私たち人間に、教師としてあらゆることを教え、模範として生き方を示してくれた存在であるお方。それが預言者ムハンマドです。
私を含め、後からイスラームを知った日本人にとって理解が難しいものの一つが預言者様への愛情です。自分自身よりも愛さなくてはならないとされる預言者様の存在は、その偉大さは想像に難くなく、頭で尊敬の念を持つことはできるとしても、心の底から湧き上がるような親愛の情を持つのは正直簡単なことではありません。
この点に関していつも思い出すこのようなハディースがあります。
ある日預言者ムハンマドがこう言いました。
「兄弟に会うことができたらいいのに・・・」
サハーバ(教友)はこう問いかけます。
「アッラーの使徒よ、我々はあなたの兄弟ではないのですか?!」
預言者様はこう答えます。
「いいえ、あなた方は私の教友です。兄弟とは、私の後の時代にやってきて、私を目にすることもなく私を信じる人たちのことです」
預言者様が私たちを愛してくださっていることは疑いもないことであり、さらに私たちが、預言者様を愛するとはどういうことか?、どうすれば愛することができるのか?と悩むことも恐らくご存知で、励ましてくださっているのではないでしょうか・・・
であれば私たちから近付く努力をもっとしてみましょう。手っ取り早く始めることのできることとして「サラワート(祝福祈願)」を始めましょう!
「サラワート(祝福祈願)」とは、預言者ムハンマドへの祝福をアッラーに祈るドゥアー(祈願)で、「アッラーよ、我々の長ムハンマドに祝福がありますように(アッラーフンマ・サッリ・アラー・サイイディナー・ムハンマド)」と祈る言葉で、こうした短いものから長いものまで様々なバージョンがあります。
アッラーはこう仰って私たちに祝福祈願を命じています。
「本当にアッラーと天使たちは、聖預言者を祝福する。信仰する者たちよ、あなたがたはかれを祝福し、(最大の)敬意を払って挨拶しなさい」(アハザーブ章33-56)
多くのハディースでも祝福祈願について述べられています。
「私に祝福を祈る人には、アッラーが10の善行を記録してくださり、10の悪行を消してくださるでしょう。そして10の段階を高められ、同じように祝福を送り返してくれるでしょう」(ナサーイー、アフマドほか)
「審判の日に私にとっていちばん大切な人たちとは、いちばん多く私に祝福を祈ってくれた人たちです」(ティルミズィー)
「私のとりなしに最もふさわしい者は、私の為に最も多くの祝福祈願を行う者である」(ティルミズィ)
「教友ウバイユ・ブン・カアブさま(アッラーのご満悦あれ)の伝えるところによると、彼は次のように言ったとのこと。
『アッラーの御使いさま、私はあなたへの祝福祈願をたくさんしたいのですが、私の祈りのうちのどれくらいをあなたに捧げるとよいでしょうか。』
預言者様(彼に祝福と平安あれ)はおっしゃられました。
『あなたの好きなだけどうぞ』
『四分の一ではいかがでしょうか」
『あなたの好きなだけどうぞ。でもそれ以上ならあなたにとってより良いでしょう』
『では半分ならいかがでしょうか』
『お好きなだけどうぞ。でもそれ以上ならあなたにとってより良いでしょう』
『三分の二ならいかがでしょうか』
『お好きなだけどうぞ。でもそれ以上ならあなたにとってより良いでしょう』
『私の祈りのすべてをあなたに捧げたらいかがでしょうか』
『ならばあなたの悩みは解消され、罪は許されるでしょう』」(ティルミズィー)
こうしたクルアーンやハディースから導き出されることとして、祝福祈願を行うことには多くの意義があります。そのいくつかを挙げてみます。
☆クルアーンで命じられていることから、アッラーの命令に従うことになる。
☆罪への赦しを得る手段となる。
☆預言者様に近付くことができる。
☆アッラーの慈悲をいただくための手段となる。
☆ドゥアー(祈り)が聞き入れられるための手段となる。
☆最後の審判の日、預言者様にとりなしをしてもらうことができる。
預言者様への敬愛をさらに深められる機会となりますように!