おもてなしの心 ~イスラーム文化~

 

 

 

「おもてなし」は、心を込めてお客様を接待する言葉として流行語とまでなった、日本人の誇る美徳の一つです。確かにホテルからスーパーまで、日本におけるお客様を大切にする態度やきめ細かい心遣いは、一般的に海外の それとくらべると桁外れで洗練されており、信頼や安心の源ともなっています。 

 

海外、と書きましたが、イスラーム圏を旅したことがある方々も、見知らぬ土地での触れ合いを通じて、思いも かけぬもてなしを実感したことがあるのではないでしょうか?旅行者とみると親しげに話しかけてくれる人々、 たまたますれ違っただけなのにお茶をご馳走してくれたり、挙句の果ては自宅にまで招かれたりすることも。  もちろん善からぬたくらみで近付いてくる輩もいないことはないので注意が必要なことも確かではありますが・・・  ムスリムはたいていお客さんをもてなすのが大好きで、食べきれないほどの料理をご馳走してくれたり、お茶とちょっとしたお菓子だけしかなくても気軽に家に招いたり、また急な来客も厭わない場合が多いと言えます。

このもてなしの背景には、単に人懐こいとか好奇心が強い人々だということ以上に、お客様はアッラーから送られた恵みの一つだという考え、家を訪れる客はその家の豊かさを増してくれるとの信念があります。「アッラーの友」として知られる預言者イブラーヒームは人々に対して気前が良く、お客様を手厚くもてなしたことが知られていますし、預言者ムハンマドもご自身で客を歓待されたことや、自らの家族が食べるものさえないような状況でなんとか工面して客に食べさせた教友の話なども残されています。人々は信仰にのっとって、親戚であれ遠来の客であれ、損得を考えずに飲食を振る舞い、リラックスさせ、必要な 助けを差し伸べるという善行の習いを脈々と受け継いできているのです。

 

リラックスした雰囲気で一緒に食事をし、おしゃべりをすると、人はお互いをもっとよく知り、親しい関係を築くことができるようになります。人間関係を円滑にする上、善行を積み重ねたことにもなるおもてなしの心、振る 舞いは、イスラームの重要な精神の一つです。