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二人の旅人が探し求めた創造主

 

 

「慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名おいて」

〔アッラーの存在を快適な愚話で12つの証明で示す〕

 

アッラーは人々のために比喩(ひゆ)をあげられる。それは彼らに反省させるためである。こんな例えを、我は人間に示すのは、おそらく彼らは熟考するであろうと思うからである。

ある日二人の男が尋常でない影響を受けて気を失ってしまった。目が覚めると不思議な世界に連れて来られたのに気づいた。その世界はすばらしく完璧ともいえる秩序で創られている、国、町あるいは宮殿のようだった。彼らは大変驚きあたりを見回した。そこは広大な世界で、ある見方をすれば整然とした国、少し別の見方をすれば素晴らしい町であり、また少しの別の見方をすれば、雄大な世界をすべて取りこんだ一つの宮殿ともいえた。


この不思議な世界を歩き回ってみると、色々な生き物がいることに気付いた。その生き物はある方法で話をしているのだが、この2人には彼らの言葉はわからず、ただ彼らの様子から、彼らが大切な仕事、重大な義務を果たしていることは2人にも理解できた。


2人のうちの1人が友人に言った。「この不思議な世界にはすべてを取り計らっている何者かが存在するはずです。この申し分のないすばらしい町の所有者、見事に作られた宮殿の建築家がいるはずです。私達は努力しなければいけません。そうして、その存在を知るべきです。というのはここに私達を連れてきたのは彼だからです。その存在を知ることができなければ、誰が私達を救ってくれるのでしょうか?

 

彼らの言葉もわからず、又私達に耳を傾けない無力な生き物に何か望むことができますか?広大な世界を、国のように、町のように、宮殿のように形づくり、端から端まで見事に装飾したその存在は、私達や、ここへきた人々から何か望んでいることがあるはずです。その存在を知るべきです。そして何を望んでいるのかを知る必要があります。」


もう1人の男は「私には信じられません。あなたが言っているようなものが存在していることも、その存在がこの全世界を一人で制御しているということも。」と言った。


「私達がその存在を認めず、彼に無関心であり続けても私達には何の益もありません。でも、そのことが害をもたらすなら、莫大な害となることでしょう。もし、知る努力をするなら、それほど難しくもないでしょうが、そこからもたらされるものは多大です。ですから、彼に無関心でありつづけることは賢いことではありません。」と友人は返答した。


思慮のない人は、「私はそういうことを考えないことによって楽しみを味わうのです。私には理解できないようなことを考える気はありません。ここで全ての事は偶然で,すべてがそれぞれ勝手に動いているのです。そう言うことを考えることが私にとって何になるというのですか。」といった。
すると、思慮深い友人が返答した。「君のこの頑固さは私や多くの人達をこまらせるでしょう。独りの無作法者のせいで、国全体が壊されることもあることです。」


又、思慮のない友人が振向いて「この全世界に唯一の支配者、唯一の制御者、唯一の創造主が存在していると確実に証明してください。さもなければ、私のことはほっといてください。」といった。


思慮深い友人が答えた。「あなたの頑固さは気違いじみています。その頑固さのために、私達を、いやおそらく国をも深い悲しみに陥れ、害をなすことでしょう。ですから、私は宮殿のようなこの世界、及び、町のような国には唯一の創造主が存在していることを証明する12の証拠をあなたに示しましょう。全てを動かして管理しているのはその存在のみです。その存在には不足ということがなく、我々に見えないその存在は、我々全てを見、我々の言葉を聞きます。その存在の作品は全て、奇跡であり感嘆すべきものです。我々が見た言語の分からないこの生き物はすべてその存在のために働く人々です。」


第1の証明


君の周りをよく見なさい。全ての物事の中に秘められた力が機能している。10グラムの力さえ出せないものが何百トンもの重荷を上げ、何ら意識を持たないものが、非常に賢明で、目的のある事を行う。これらは自らそれ自身で動いているのではなく、隠れた力の所有者が動かしているということを意味する。もしこれらが自ら動いているとすればここで見られるどの行為も全くの奇跡であるということになるが、それは明らかに無理なつじつま合わせである。


第2の証明


さあ、来て、この平野や平原を飾っているものを注意深く見なさい。それぞれが隠れたる創造主を物語っている。すべてが、まるで紋章、または刻印のように、創造主を示している。ほら、この目の前の1ディルヘムの綿を見なさいそれから豊かな量の布、織物ができ、たくさんのおいしいお菓子ができた。何千人という人がその服を着て、そのお菓子をお腹いっぱい食べても尽きるということはない。そして、見なさい!一握りの鉄、水、土、石炭、銅、銀、及び、金がその秘められた力の手にとられ、生物ができた。このように被造物である全ての物はその創造主の力で支配され、その望みに従順に従う。


第3の証明


こちらに来て、これらの動く芸術的作品を見なさい。それぞれはまるでこの巨大な宮殿の縮小模型のように作られている。この宮殿にある全てのものがその小さな機械の中にある。


この宮殿の主以外の誰かがごく小さな機械の中にこの巨大な宮殿を収めるということは可能だろうか。そして、小さな箱ほどの大きさのものの中に実に驚くべきことに全宮殿を含んでいるとしたら、それらがただの偶然であり、別に意味も無いようなものであることがありえるだろうか。


あなたがその目で見たこれら全ての芸術的な機械はそれぞれが、その秘められた存在の刻印である。あるいは紋章、使者、または宣言のようなものである。言葉ではない言語を通して「我々はある存在によって造られた作品である。その存在はこの世界全てをも、我々を作ったのと同様に容易に創造されるのだ。」と語っている。


第4の証明


私の頑固な友人よ。更に珍しいものを君に示そう。見なさい!この場所における全てのものは変化している。ひとつの状態で存続することはまったくない。これら生命を持たず、感覚もないものが、他をすっかり支配できるよう形作られている。まるで一つのものがその他を完全に支配しているかのようだ。たとえばこの機械を見なさい。まるでそのように指示しているかのように、その装飾及び働きに必要な全ての物質が彼方からそれを目指してやって来る。あちらを見なさい。あの生命のない物質は、まるで手招きしているかのようだ。それは自分より大きな物体を自分のために働かせ、あるいは自分のために貢献させる。


同じ方法で更なる類推をしてみなさい。もしその隠れたる主の存在を受け入れなければ、石や土や動物など、全てのものは、主の所有する全ての技術や芸術をそれ自身に帰さなければならない。驚異的な機能を持つ一つの存在の代りにそれと同じ力を持つ何千万という存在を受け入れなければならなくなる。

 

そして、それらはみなお互いが対立しあい、また対等であり、お互いに関わりある存在であるから、混乱を生じさせないわけには行かないであろう。二人の町長がいる村、二人の市長がいる市、二人の主がいる国には混乱がおきる。すなわち二人の支配者がいればそれだけでその場は混乱するのだ。このような支配者が無数に存在すればどうなるかはいうまでもない。


第5の証明


私の疑い深い友人よ! この広大な宮殿に刻まれたものを注意深く見なさい。この町の全ての装飾と秩序を見、そして、この世界における全ての芸術作品について熟考しなさい。


見なさい。これらは無限の奇跡、及び、技術を所有する秘められた存在が為されたものでなく、仮に、無意識的な要因、ただの偶然、聞く耳を持たない自然によるものだとしてみよう。その場合、この土地の全ての石や植物は、それぞれが奇跡的な芸術家である必要がある。何百万もの芸術作品を1つの刻印に入れ、一つの文字の中に1,000冊の本を書くことができることになる。

 

なぜなら、例えばこれらの石の上に刻まれたものを見なさい。各々の石に、宮殿の全体の記録、及び、町を統治するルール、国全体を組織するための方策が記載されている。一つの刻印を作ることは一つの世界を作るのと同様である。そのため、一つ一つの碑文、芸術作品は、隠れたる主の宣言、及び、紋章である。


文字は必ずそれを書いたものの存在を示すものである。どんな芸術も、その製作者を示している。一つの文字に巨大な本を書き、千の奇跡を1つの奇跡に顕わす主は、その作品によって知られるのではないか。


第6の証明


さぁ、この広い平原に出て行こう。周囲全てを見ることができるように、あそこの高い山の頂上に登ろう。全てがよく見えるようにこの双眼鏡を使おう。この奇妙な世界では想像もできない奇妙なことが毎時起こっているのだから。


見なさい!これらの山、平原、及び、町は、急激に変化している。何百万という物質がお互いの間で、秩序を保ちつつ変化している。何百万もの様々な布が一度に織られるような、実に驚くべき変化が行なわれている。見なさい!我々がよく知っている花々は消滅して、代わりに、似てはいるが、形が異なる別のものが整然としたやり方で生じている。まるで、この平原が1枚の紙で、その中に、全く簡単にそして、過失も欠陥もなしに、数十万の異なる本が書かれているかのようである。


巧みに組み合わせられたこの際限のない発生がそれ自身で勝手に起こるということは不可能である、というのは言うまでもない。現象自体よりむしろそれらを作った芸術家を示している。更に、その芸術家にとって、難しいことは何一つない。彼にとって1000冊の本を書くことは1字を書くように容易なことである。


君の周囲を見回しなさい。その芸術家は全てを完全な英知によって、最も適切なところに配置される。全ての人間や動物の欲求が満足するほどの好意を惜しみなく浴びせる。その芸術家は、気前よく食卓をととのえ、全ての人間、動物に、それぞれに適した恩恵のご馳走を与える。これらのことが偶然に起因するということ、または目的もなく、無駄であるということ、または多くのものがそれに手を下しているということ、またはそれらの創造主は全てが可能ではないということ、または全てがその存在によって支配されているのではない、こういったことがありえるだろうか。友よ。君が直面している事実に対して弁解をさがしてみなさい。


第7の証明


友人よ!今、この驚くべき世界に存在する物がどんなに素晴らしくお互いに影響しあって行動しているかということに注目してみよう。見なさい!この世界で、全ては素晴らしい秩序の元で行なわれ、そして、全体的な変化は切れなく発生している。全ての岩や木等は各々が意志によって行動しているかのように世界全体規模の秩序に完全に適合している。お互いに最も遠いものでさえ、それぞれの援助に駆けつける。


見なさい。不思議な隊列が現れた。その輸送車は、木や植物に似ていると言える。各々は頭の上に食料の入った容器を持っている。それらはそこで待っている様々な動物のための食べ物だ。


それからこのドームの強力な電灯を見なさい。それらに光をもたらすのと同様、全ての食料を見事に調理しているのである。それらの食物は目に見えない援助と、結びついているのである。


そして、これらの無力で弱い小さな動物たちを見なさい。それらの口の前にはいくつかの小さい袋が用意され、彼らを生かしている。その動物たちはただそれに口をくっつけるだけでいいのである.。


つまり、世界中の全てのものがお互いの必要性を知って、義務を完全に果たせるために協力して助け合う。
このように、全てのこれらのものは、2プラス2が4に等しいのと同様に、全てはこの驚くべき宮殿の所有者に支配されている、そして全ては、彼の命令の下にある軍人のように行動しており、全ては彼の力によって働く、全ては彼の英知によって整理される、全ては彼の同情を経てその他の支援に急がせられる、と決定的に表示する。友人よ!これに直面して何かを言えるのか。


第8の証明


私の魂のように自分が理性的だと思う友達よ!あなたは、この壮大な宮殿の所有者を認めようと望まない。しかし、全ては、彼を指し示す、彼を証明する。あなたは、いかに全てのこれらのものの証言を否定するのか。それでは、宮殿も世界も国も町も否定し、さらには自らをも否定しなければならなくなるだろう。そうでないなら、意識を取り戻し私の言うことを聞きなさい!


見なさい。この宮殿の中に一定の要素や、各種の物質がある。この宮殿に現れる全ては、それらのエレメントで作られる。その要素や物質がもし誰かの財産であれば、それらから作られた全ては同じく彼のものであろう。それらの畑をもし誰かが所有していれば、それらの作物は、同様に彼のものであろう。海がもし誰かのであれば、その中のものは、同じく全て彼のものであろう。


見なさい。あちらこちらに飾られたこれらの生地が織られた材料は、1つの物質である。明らかに、それをもたらされ、それの準備をし、そしてそれを糸にするのは唯一の存在であろう。なぜなら、その作業には今日s共同作業者の存在は認められない。そのように、全ての巧みに織られたものは、唯一その存在にのみ着せられるんものである。


そして、見なさい! 被創造物の全ての種類は、宮殿のどこにも見られる。同じ瞬間に、同じ方法で、共に作られる。この事実は、これらが全て一つの存在の仕事であること、これらすべてがその存在にしたがっていることを意味する。そうでなければ、このように同じ瞬間に同じ方法で作られることは不可能であろう。


巧みに作られたこれらの各々は、その秘められた存在の宣言、スタンプ、マーク、装飾のようであって、彼を指し示す。美しい作品、よくできた機械、美味な食物は、そのあり方を通してこう言う:「私がもし誰かの作品であるなら、私がいるこの場所もその存在によって創られた。この宮殿に我々を創られたのはその存在であり、だからこの宮殿の主もその存在である。この宮殿の主が誰であれ、それが我々の主でもある。」例えば、向上で作られる小さなボタンの主である為には、その工場全体の主であることが必要なのだ。」


友人よ!この壮大な宮殿に唯一性のサイン、統一性の印がある。なぜなら、ものは多数であるのに、どこにも見られ、共通点があることから、統一性が示されている。。この統一性は唯一な支配者、所有者、芸術家にされたということを必要とする。


更に、これを注意深く見なさい。目に見えないところから太い糸が出ている。何千もの糸[ストリング]がそれから出て。糸の先端を見なさい。ダイヤモンド、装飾、贈物がそれぞれ付随して、それぞれに適当なプレゼントが与えられている。この驚くべき行為でこのような恵み、贈り物を被創造物へもたらされる存在を認めようとしない、感謝しようとしないことはどんなにわるいことか。もしその主の存在を認めなければ、「これらの糸は、先についているダイヤモンドや贈物を自ら作って、他物に提供する」ということになる。そして、各糸が主のような動作ができる機能を持たなければならない。一方、目に見えない手は、我々の目の前に糸を作って、贈物をそれらに接続している。従って、この宮殿の全てが自らよりむしろその主を指している。あなたが主を認めなければこの全ての奇跡的な動作を否定することによって、動物よりも100倍低くなることだろ。


第9の証明


私の無分別な友人よ!あなたは、この宮殿の所有者を知らず、知ろうともしない。なぜなら、あなたが彼の存在を理解できず、ありそうもないと思うからだ。ところが、真の困難、辛苦、トラブルは、彼を知らないところから始まる。もし、彼の存在を知れば、宮殿、この世界が唯一のものとなり、理解しやすくなる。そして、我々の周辺にあるたくさんのものは値段が安くて豊かになる。もし彼の存在を認めなければ、全てのものの作成はこの宮殿のと同じくらい難しくなってしまう。全てが、宮殿と同様に巧みさをもっているのである。そうなると、多量も豊かさも無理になってものの価値が非常に高くなり、これらもののうちの1つも、我々だけでなく、誰の手にも入らなくなる。例えば、この糸に絡まった甘い缶詰の小箱を見なさい。それがその秘められた存在の台所で作られたのでなければ、今はそれを100円で買っているが、1万円払っても買えなかっただろう。


さあ、実のなるこの木を見なさい。木の全体は1つの根によって生息している。何千もの実がなるのは、1つの実がなるのと同じほど容易である。もし全ての実が別々の根から供給されるとすれば、一つ一つの実がなる為に一本の木が生えるのと同様の力が必要となるのである。


又、ある軍隊の全ての軍人に必要な装備が一ヶ所の工場で作られるとすればどんなに容易か分かる。しかし、各軍人の装備が異なるところで作られるとすればたくさんの工場が必要となってしまう。


これらの2例と同様に、この秩序ある宮殿、この優れた町、発展したこの国、この壮大な世界にある、全てのものを創造している存在が唯一だとすれば、それは非常に容易になって、今見ているように、大変安く、豊富で、惜しみなく与えられることができる理由となる。そうでなければ、各々は非常に高価になって、いくら払っても一つも手入れることができないだろう。


第10の証明


少し正気になった友人よ! 我々は、ここに15日間滞在している。我々がこの世界の規則を知らず、その世界の主を認めなければ、我々は処罰を受けるに値するであろう。この15日間は我々にとって気づくための期間であったので、もういいわけはできない。我々には頭脳が与えられているのだ。我々はこれらの繊細なバランスのとれた巧みに作られた存在の中で動物のように歩き回り、それらを台無しにすることができない。この国の威厳ある主のペナルティは恐ろしい。彼がどんなに強力で、威厳があるか理解するためには、彼がこの広大な世界をまるで1つの宮殿のように飾り、何もミスしないで、あたかも一軒の家のように治めていることを見れば分かるだろう。彼がこの世界を完全な英知によって絶え間なく満たし、それからそれを空にするのを見なさい。食卓を広げ多種多様の食べ物を作り、食物の種類を順にもたらし、必要としているものに与える。その後、それらを取り除く。目に見えない手は1つを取り除き、その代わりに別のものをもたらす。あなたが頭を使っていれば、その中で畏敬の念を起こさせる権威が無限に気前良く、寛大であると理解するだろう。


そして、全てこれらのものがその目に見えないものの主権及び統一を証明しているように、次々に起こっているこれらの変化、及び、変更がその存在の継続性、及び、永続性を証明している。なぜなら、ある事柄を起こしていると我々が想像している原因は物と共に消え去る。一方、その後、事柄が繰り返し起こる。ということはこれらの作品はその消えてしまった原因によるものではなく、消滅することのない何者かの作品であることを意味する。川の表面に泡ができては、光り、そして消える。その後に別の泡が同じようにできては、光って、消える。それらを光らせるものは、不変のそして高度な光の所有者である。同様に、これらの作品全てが、急に変り、なくなり、その後に来るものがまた同じ特徴を持っているということは、それら全ては永続的で、不滅であり、唯一である主の芸術であると表明している。


第11の証明


私の友人よ!さあ、今までの10の証明と同じくらい強力で決定的な証拠をあなたに示そう。船に乗ってはるか遠くの半島へ行こう。謎に満ちているこの世界の鍵はそこにあるはずだ。全ての人は、その半島をみつめ、そこから何かを待ち、命令を受けている。今、我々はこの半島に向かっている、そしてようやくそこに着いた。大きな共同体がある。国の全ての重要な人々がそこで集まったかのようなである。注意深くごらんなさい、この大きな共同体には、リーダーが一人いる。もっと近づいて、彼のことをもっと知ろう。見なさい!彼は光り輝く、何千ものしるしを示していることか。なんと力強く語ることか、なんと彼は優しく話されることか。この15日間で、私は、彼の言葉を一部理解できるようになった。あなたも、私からそれらを学びなさい。この国の奇跡を示す王について彼が話している。さあ、理解しなさい。輝かしい王が、我々に彼を遣わされたと彼は言っている。御覧なさい、彼はすばらしい奇跡を示している。

 

彼は疑いなく王の特使である。よく注意なさい、彼が話す言葉は、ただこの半島上の生物のみ聴いているのではなく、国のすべてが実に驚くべき方法で耳を傾けているのだ。近くの人も、遠くの人も、全ての人が、ここでのスピーチを聴こうとしている。それに耳を傾けているのは人間のみではなく、おそらく動物もである。さらに山々さえもが、彼のもたらした命令を聴き、大地さえも揺れ動いている。木々も彼が示す場所へ移動し、望んだ場所どこからでも、彼は水をもたらす。

 

彼は、彼の指をカウサルの泉ように作り、そして、そこから飲み物まで与える。さあごらんなさい、この宮殿の雄大なドームの中にある大切なランプ(月)は、彼の指示で2つに分裂した。そこに存在する全てのものが彼の任務を知っているのである。彼が幽玄の奇跡を解き明かすことのできる優れた真の通訳者であり、主の使者で、彼の守護を明瞭に伝える伝達者であり、彼の命令を伝える信頼できる特使であるということを知っているかのように、それらすべてが彼に注意して、服従する。彼が語った言葉を周りの知性あるすべての者達は「はい、そうです、そのとおりです。」と認める。いや、おそらくこの半島の山々、木々、そして全世界の国々を照らす巨大な光のランプ(太陽のこと)さえも、彼の命令に頭を下げ、「はい、そのとおりです。あなたのおっしゃられることはみんな真実です。」と断言するだろう。


従って、私の愚かな友人よ!その王自身の宝庫特有の千のしるしを携え、光り輝く、壮大で、重大な存在である奇跡を示す王に関して、また国中の優れた著名人たちが全知力をしぼって承認し述べている、彼が語る王の属性と彼の伝える命令について、はたして矛盾や偽りを見出すことができるだろうか?これらのものの真実に反して何かあるならば、この宮殿やこれらのランプやこの共同体の存在についても、その真実も、両方を否定しなければならなくなる。もしあなたができるならならば、これらに反論して見なさい。残念ながら、あなたは、証明の力によって粉砕され、そして、あなたの反論があなたに投げ返されることを理解するであろう。


第12の証明


さあ、来なさい、少し賢くなった私の兄弟よ!私は、前述の11の証明の強さにもまさる証明をあなたに示そう。さあ、天から、みんなが驚きと尊敬をこめて注意深く見つめるこの光輝く王の命をごらんなさい。千のしるしを携えた彼は、そのそばにとどまり、その命令の意味を全ての人に説明している。その命令の様式は、見事に光り輝いており、誰もが惹きつけられそれを注視する。さらに、真剣な重大な問題について語るので、誰もが耳を傾けないわけにはいかなくなる。というのは、この国すべてをの土地を統治し、この宮殿を作り、そしてこれらの奇跡を示す御方の特性、行動、命令すべてについて語っているからである。ちょうど、命令全体に力強いしるしがあるように、見なさい!すべての行、すべての文にも比類ないしるしが見られる。更に、意味、真実、命令、及び、それが表す英知はその存在のしるしであり、そこには特別のスタイルが見られる。


短くいえば、至高なる命令は太陽のように絶対的な存在(神)を示すので、盲目でないものは誰でも見ることができる。従って、私の友人よ!あなたがあなたの知性を取り戻したならば、これは、当分は十分である。もしあなたが何か言うことがあるならば、今話しなさい。すると、頑固な人は次のように返答した。


「私は、あなたの示したこれらの証明に対して、ただエルハムドリッラー(アッラーを讃え、アッラーに感謝いたします)と言えます。私は、信じるようになりました。そして、私は、太陽のように輝く、昼のように明らかな形で信じ、そして、その国の完璧な唯一の王、その世界の偉大なる唯一の所有者、その宮殿の唯一の美しい創造主の存在を受け入れました。アッラーがあなたを嘉給いますように。あなたは、私の以前の頑固さと愚かさから私を救ってくれました。あなたが示した証拠の各々は、真実を説明するのに十分でした。けれども、証明が次々にすすむにつれて、より明瞭で、よりふさわしく、より輝かしく、よりよい知識と認識のベールと愛の窓が開かれ明らかにされていくので、私は(それらを)待ち望み、耳を傾けてきました。」


神が唯一であるという真実と神への信仰を示すこの象徴化された話は、ここに完成される。

「成功及び導きは神のみが齎す。」

 

 

 

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