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あなたの配偶者を知ってみませんか

 

 

ある女性が私に手紙をくれたが、要約するなら次のようなものであった。

「夫の私への気持ちが冷えてしまいました。もう私のことを愛していないのです。私には何ができるでしょうか。」

 

 ある男が牛を飼っていた。彼は水を飲ませるため、牛の頭を水がめの中に入れさせた。牛は頭をそこに入れたが、抜けなくなってしまった。牛の飼い主は隣人のところに行き、事情を説明した。「牛の頭が水がめから抜けなくなった。どうしたらいいだろうか。」隣人は言った。「牛の頭を切りなさい。」男は頭を切断してしまったが、それでも頭は水がめの中にあった。「今度はどうすればいいだろうか。」と彼は再び隣人に尋ねた。隣人は答えた。「水がめを割りなさい。」・・・当然、牛の頭は大変なことになってしまった。

 

 そう、適当な人と見いだした家族問題に関する解決策は、このようなものである。相談する相手は、人生経験と知識を備えているべきなのだ。

 

 私の考えでは、結婚で幸福になることを望む人は必ず幸福になる。幸福になるかならないかはその人にかかっている。人は他の人に対して優位性を持たない。人を優れたものとするのはその主義、原則である。最もよい主義、原則はイスラームに集約されている。真の意味でイスラーム的な生き方をしている人は、今日の生き方に反抗しているようである。この反抗の重さがあらゆる面でその存在を示したとしても、ムスリムはイスラームを実際に生きることの幸せに到達するのだ。

 

 微笑むことを知り、相手を批判せず、配偶者の親戚に対しいい態度をとり、不機嫌でいたり大声をあげたりすることのない妻、もしくは夫に対してその配偶者の心が冷めることがあるだろうか?

 

 あるイスラーム学者は言う。「家庭の永遠なる幸福は夫と妻の間の相互の信頼、そして心からの敬意と愛情によって継続していく」

 

 人類の歴史を通して人は皆、一人であれ他者と共にであれ、心の安らぎを得る方法を探し求めてきた。不安やいらいらした気持ちというものは外からもたらされるものではない。それは私たちの中にあるのだ。

 

 不安やいらいたした気持ちの原因を外で探す人は、誤った方向へ向かった。共に生きることの神秘を見出すことができれば(これも、原則に従うことによって可能となる)どうして私たちの心が配偶者から冷めるだろうか?

 

 詩人はいう。

「私には冷静な忍耐はなく

 あなたには忠義のひとかけらもない

 二つの無から何が生じるだろう

 考えてみよう、一度」

 

 夫婦の間に冷淡さが割って入ることはありえる。これは非常に自然なことである。大切なのは、この段階で何がなされるかということである。つまり氷をどうやって溶かせられるか、ということだ。

 

 一部の女性たちはこういった状況で夫から遠ざかったり、自分の家族や親戚のもとへ行くことが解決策になると考えている。これは、いつでも解決策となるわけではないのだ。冷淡さがより増すことがあり得るのである。

 

 つまりは、楽観主義であること…

 「あなたの配偶者に、あなたの気に入らない部分があるのであれば、忍耐しなさい。その対価としてアッラーはあなたにいくつかの報奨を与えられるだろう。よい子供たち、家庭などである。」「よい形で物事を見る者はよい形で考える。よい形で考える者はその人生で楽しみを味わう。」

 

 配偶者を気に入らない人は、次のように考えてみるのだ。「アッラーは私にこの悩みを与えられた。他の悩みは与えられない。運命はいうだろう、この苦悩でこの人には十分だ、他の苦悩は与えないでおこう。」

 

 人の苦悩と喜びの積はたがいに等しい。アッラーの公正さを考えるべきなのだ。

 

 結婚生活において「ああ、そうだね」ということを学ぶことは、多くの問題の解決に十分である。私たちの配偶者の要求がイスラームに適したものである限り、私たちが「ああそうだね」と答えたら何か不都合はあるだろうか?自尊心を傷つけるとでもいうのだろうか?喧嘩も終わるし、騒動も終わる。「私は問題のある人にはならない、あなたの決定に従う。」ということは皆を楽にする。私は自分の助手たちに「あなたの仕事に対立することはない。この仕事をやっている時は私は労働者で社長はあなただ。」と言い、皆喜んでいる。私の妻にもそう簡単に「違う。」とは言わない。その要求がイスラームに反するものでなければ「そうだね」と言い、それで問題は片付くのだ。

 

 とても信仰深い友人がいた。その妻も、行儀よく文化的な女性だった。彼の

 彼の妻は離婚を要求したという。「何が起こったんだ。」と私たちは言っていた。「なぜ奥さんはあなたと別れることに?」その返事は次のようなものであった。「私に期待していたのは上品さだけだったらしい、それすら得られなくて離婚を決意したそうだ!私はこの女とどうやって和解すればいいんだろう。」

 

 私は応えた。「まずあなた自身と和解しなければ。それから奥さんとも和解すればいい。」

 

 

つまり、あなたの配偶者を知ろうとすることから、全ては始まるのだ。

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