イスラームにおける結婚・家族観

夫妻の権利と権利

 

 

 

 

イスラームにおける結婚観

結婚、家庭を築くことは、人間としての安らぎや幸せ、精神的、肉体的な健全さ、またバランスを守るためにとても大切なことです。聖クルアーンでは、このように記されています。

 

『またかれがあなたがた自身から、あなたがたのために配偶を創られたのは、かれの印の一つである。あなたがたはかの女らによって安らぎを得るよう(取り計らわれ)、あなたがたの間に愛と情けの念を植え付けられる。本当にその中には、考え深い者への印がある。』(聖クルアーン 第30章21節)

 

 このように、結婚、家庭を築くことは、聖クルアーンにおいては、アッラーが存在する印とされています。イスラームでは、結婚が人に精神的、信仰面の安定、成長をもたらすこと、また人間の特性(性欲など)に必要なものを正しい範囲で満たすことができ、不貞行為を回避すること、家庭を持つことはいかに重要で合理的であるか、推奨されている理由は人間の本質に基づくものであり、支えるものです。

 

イスラーム以前の時代、アラブを始めとするいくつかの社会では、女性は法律的にも社会的にも地位がなく、とても可哀そうな扱いをされていました。そこにイスラームの教え、預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)によって、女性は大切にされるべき存在として見直され、結婚生活において、妻として罪や誘惑から夫(男性)を保護し、より崇高な正しい道へ夫を導くことができる存在となっています。

 

 イスラームでは、結婚は安定したものであることが望まれ、そのためには、自らにふさわしい相手を選ぶことがお勧めされています。お互いの外見の美しさや財産などによって決めるのではなく、結婚で何よりの重要視されるのは、その人の魂の美しさ、信仰、品性、性格の良さなどです。それによって、結婚生活で起こる様々な出来事、困難などを共に忍耐し、一時的ではない相手への尊敬と誠実さによって結婚という大切な意味を知ることができるのです。

 

夫の役割と権利

 イスラームの結婚の基本的な条件に関わる部分として、夫は、家庭の扶養し、生計を立てる責任を担っています。これはとても重く大きな役割と言えます。また、夫婦関係を仲良く、円滑にするために、妻に親切に接したり、一緒に過ごす時間を設けること、妻にイスラームを伝えるなどの教育を施す役割などがあります。実際、夫(男性)には、妻(女性)より、より多くの役割、義務が存在します。

  「男は女の庇護者である。それはアッラーが、一方を他よりも強くなされ、彼らが己の資産から(扶養のため)に費やすゆえでる」(聖クルアーン第4章34節)

 

 夫は家族の扶養という大きな責任を持ち、その上、家族のよい関係のため、妻に優しく気遣い、多くの役割を果たしてくれることで、妻や子供は夫に守られ安心して生活することができるのです。それゆえ、夫(男性)は強い存在として創造され、一家の中心であり柱なのです。そのため、妻は夫をに従順であり、家庭でリラックスして過ごせるよう配慮することがお勧めされています。

 

 

妻の役割と権利

 夫としての役割と権利があるように、イスラームでは、妻としての権利と妻が望まれるべき役割があります。妻として女性に関する預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)の言葉は有名です。「あなた方のうちで最も優れた者は、妻に最もよく接したものである。」

 

 前項で触れましたが、夫として男性には、一ムスリムとして行うべきことの他に、家族に対し経済的扶養、信、教育などの多くの義務があります。妻や子供を養うために働き、家族が衣食住を行うための基盤、別の言い方をすれば、アッラーからの恵みを家族へと運んでくるのが夫である男性なのです。一方で、妻は、 夫に対して貞節であること、様々な点で夫の許可を求め、従順であること、夫が不在の時は、妻は夫の財産を守り、家庭(子ども)を守ること、などの役割を果たします。

 

 夫と妻は人生において、男女それぞれの性質にあった役割を持つという点で平等と言えるでしょう。夫は主に、家庭を養う役割を持ち、妻は家の管理と子供を育てるという役割を担います。現代では、夫と妻が同じ役割を分担しあうことが平等である、という考え方が一般的になってきているものの、実際それを実現することも、お互い不平のない関係でいることも難しいのが現状です。

 

 イスラームでは、男女という異なる性が創造され、その性質により相応する役割を持つことの素晴らしさを認めています。損得ではなく、相手を尊敬し、感謝する気持ちが生まれ、夫婦がお互いの才能に信頼し、よい家庭を築くことができるのです。また、男性の力強さや頼もしさ、女性の優しさや奥ゆかしさといったそれぞれの美徳ともいえる気質が、ぞれぞれの役割に不可欠であり、その素晴らしさも加味されていると言っていいでしょう。

 

イスラームにおける家族観

 人間は一人で生きることはできません。誰しも両親という存在を持ち、生まれながらにして、家族という小さな社会の中に存在します。私たちは家族という社会の中でまず育ち、そこで受ける教育、振る舞い、道徳観を基盤として、親戚、隣人、友達、学校での人々との関わり、また仕事での社会的、集団的な義務と責任を果たします。つまり別の言い方をすれば、家族間での関わりや振る舞いが、人の人格や常識を形成し、もっと大きな単位での社会での他人との関わりの礎を築いているといえます。

  

 イスラームでは、社会の中で、様々な人々と良好な関係を持つこと、社会的な責任や義務をきちんと果たすこと、その中で不正や悪行を嫌い、善い行い、善い振る舞いをするべきとしています。今日の現代社会に問題視されている、周囲の人々に対する無関心や、自己中心さや不正に対するや見逃しや鈍感さなどを禁じ、周囲に対して気を配り、他人を優先し、誠実さや奉仕、恥の精神など社会においてムスリムが振る舞うべき正しさを詳細に示しています。

 

 社会の核である家族は、人々が子孫を残す人類の存続という大きな役割を持っています。生まれてくる子供に対して、身体的、精神的、道徳的にもバランスのとれた大人へ育って欲しいと誰もが願うことでしょう。また誰もが健全な社会で生きたいを望むことでしょう。